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2003.04.07

日経ビジネス 「小さなトップ企業 製造とサービスの両輪で急成長」

日経ビジネス
小さなトップ企業 製造とサービスの両輪で急成長
2003.4.7掲載 記事抜粋

分譲マンションの入り口に置く宅配ロッカーを開発、市場の65%を握る。当初から使い勝手の向上に注カし、ユーザーからの信頼を獲得。駅やコンビニな已新たな設置場所を開拓し、さらなる成長を目指す。

大都市圏はマンション建設ブームに沸いている。供給過剰が懸念される中で顧客を引きつけるには、共有設備の充実も重要な課題になってくる。マンションの入り口に設置され、宅配便などを一時的に預かる宅配ロッカーは、そうした設備の代表例だ。

宅配ロッカーは約15年前に初めて登場したが、今ではほとんどの新築分譲マンションに設置されている。一時的に荷物を預かるだけのロッカーから、オンラインで遠隔監視し、なかなか荷物を取りに来ない住人に通知したりする高機能なロッカーまで、普及とともに種類も多様化してきた。

高級タイブでは市場を独占

フルタイムシステムは、分譲マンション向けの宅配ロッカー市場で約65%のシェアを握る。オンライン管理する高機能なロッカーに限れば、100%が同社製だ。2002年4月期の売上高は前年同期比6.7%増の19億8100万円、経常利益は同じく38.1%増の1億5100万円。

業績を順調に伸ばしている背景には、ロッカーの販売収入だけではなく、付帯サービスの収入が増えていることがある。

フルタイムの宅配ロッカーの特徴は、ロッカーを専用回線で管理センターとつなぎ、一つひとつのボックスに至るまで遠隔監視する仕組みを取り入れていることだ。マンションに入居した住人は、最初に家族の名前や電子メールアドレスなどの連絡先を届け出る。これらの情報は、大阪市にある管理センターのコンピューターに登録され、住人はロッカーを開けるIDカードを渡される。

荷物が宅配ロッカーに届けられると、レシートが受取人である住人のポストに投函されるほか、部屋のインターホンにもランプがつく。荷物が入れられてから、3日間そのままになっていた場合には、荷物の引き取りを促す電子メールなどが自動的に届く。

こうした仕組みによって、宅配ロッカーが個人の“荷物置き場”として長期間占有されるといった問題は生じにくくなる。

カードを紛失した場合は、ロッカーに設置されたインターホン趨しに管理センターのオペレーターと話せば、1時間もしないうちにロッカーが開く。

その間、あらかじめコンピューターに登録された情報を基に電話を受けたオペレーターが本人認証をする。管理センターではオペレーターがシフトを組んで勤務し、常時16人のオペレーターが待機しているという。

最近は宅配便の受け取りだけでなく、宅配便の発送、衣類のクリーニングの依頼と受け取りといったサービスも利用することができるようになった。

住人が荷物や洗濯物をロッカーに入れ、タッチパネルから依頼すると、管理センターはその情報を宅配便業者やクリーニング店などに送り、集荷を指示する。代金は、ユーザーがロッカーにクレジットカードを差し込み、暗証番号を入れて決済する。

これらのサービスは、管理センターに寄せられたユーザーの声を参考に始めたものだ。ロッカーの管理費は1世帯当たり1カ月平均200円程度。クリーニングなどのサービスの利用料も管理費に含まれている。

原社長は「ただロッカーを製造し、販売しているだけでは、いずれ真似される。売りっ放しではなく、売った後に儲ける仕組みを考えた」と話す。

贈答品の山を見てひらめく

原社長が宅配ロッカーのアイデアを思いついたのは1984年のことだ。原社長は、その10年ほど前から、集合住宅に管理人を派遣する会社を経営していた。

80年代半ばは、ちょうど宅配便が一般化した時期で、中元や歳暮の季節になると、受取人不在で管理人に預けられる荷物が急増した。住人に届けるのを忘れたりすれば、責任問題に発展しかねない。原社長は管理人に代わって荷物を預かる宅配ロッカーを 開発しようと思い立った。

86年には、管理人の派遣会社で稼いだ利益を元手にフルタイムを設立し、その翌年には1号機を発売した。ただ、日本で最初の宅配ロッカーで、認知度も低かったため、開発に2000万円を投じたにもかかわらず、1号機は400万円でようやく買い手がつくような状況だった。

バブル期後半になると、年間30~40台売れるようになったが、本格的に市場が立ち上がったのは、マンションの性能がより重視されるようになったバブル崩壊後。現在は年間1400台ほど売れるという。

この間、他社が参入し、フルタイムより低価格の宅配ロッカーも登場してきた。しかし、原社長はオンラインで管理する高級品にこだわり続けた。管理センターの運営費がかさみ、「ずっと赤字を垂れ流してきた」(原社長)という同社に転機が訪れたのは94年。旧郵政省がフルタイムの宅配ロッカーのレシートを受取人の印鑑の代わりとして認めると認可してからだ。

郵便小包が宅配ロッカーで受け取れるようになったことで、三井不動産や野村不動産といった大手のデベロッパーも続々と同社の宅配ロッカーの採用を決めた。

フルタイムの知名度は向上し、今では同社のロッカーを設置したマンションが累計7000棟となるまで市場に浸透した。原社長はこうした将来展望を描き、時間をかけて旧郵政省を説得してきたのである。

今のマンションブームが過ぎ去れば、同社の勢いも衰えるのではないか-。そんな疑問の声も出てきそうだが、同社はロッカーの製造・販売に過度に依存しないよう、サービスの比率を高めてきているので、新規着工の減少ですぐさま深刻な影響が出るわけではない。しかし、原社長は一方で、宅配ロッカーの市場を広げるため、 既に新たな手を打っている。

1つは、まだ宅配ロッカーが設置されていない既存のマンションへの売り込み。これまでも、分譲時に宅配ロッカーが設置されていなかったマンションの管理組合が、同社のロッカーを購入したケースがあった。

近隣の新築マンションの住人に話を聞いたうえで、導入を決めたのだという。設置すれば確実に利便性が高まるだけに、「後づけ」の需要はまだありそうだ。

もう1つは、マンション以外の場所への宅配ロッカーの設置だ。一昨年以降、フルタイムは駅やコンビニエンスストアなど、人が集まる場所への設置を進めている。

一昨年には、小田急線新宿駅などにロッカーを設置した。今年3月には、エーエム・ピーエム・ジャパンと提携し、コンビニの店舗で宅配便が受け取れるサービスを順次広げていく。アパートに住む単身者などには便利なサービスだ。

市場を広げるとともに、アフターサービスの比重を高め、いずれは売上構成比を半々にするのが原社長の方針。「将来、株式を上場する時は、製造業ではなく、サービス業に分類されたい」(原社長)。

同社は「管理人の代わりとなるロッカーを開発する」という創業当時からの夢に向けて、着実に前に進んでいる。

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