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中古マンションリフォームでコストダウンできるポイントを一級建築士が解説

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中古マンションを購入した際により住みやすくするために、大型リフォーム・リノベーションを考える方も多いでしょう。しかし、マンションのリフォーム・リノベーションは一戸建てと違い、さまざまな規約に沿って実行する必要があります。

自分の判断のみでリフォーム・リノベーションを進めると、思わぬトラブルの加害者になってしまうかもしれません。

そこで今回は、一級建築士でありマンションリフォームマネジャーの資格をお持ちのYuuさんに、初めてマンションをリフォーム・リノベーションをするときの注意点やコストダウンのポイントについてお聞きしました。

Profile:Yuu(本名・尾間紫)
住宅リフォームコンサルタント/一級建築士事務所 OfficeYuu代表
長年リフォーム業界の第一線で、数多くの住宅リフォームの相談、プラン設計、工事に携わってきた経験から、事業者向けには「住宅リフォームコンサルタント」としてビジネスサポートをおこない、消費者向けには「住宅リフォームガイド」としてリフォームの実践的なノウハウをテレビやラジオ、執筆、講演会などを通して発信している。

リフォーム・リノベーションで自分らしい生活

—マンションのリフォーム・リノベーションはどういう方に向いているのでしょうか?

マンションのリフォーム・リノベーションをオススメするのは、“自分らしく”暮らしたい方です。とくに若い方の中には自分の好みでカスタマイズしたいと考えている方が多いですよね。

それから、一戸建てから駅前のマンションに引っ越して老後を過ごす際にリフォームする方もいま増えています。庭の手入れや老朽部の修繕が大変な戸建てよりも、管理人がいて共用部のメンテナンスをしてくれるマンションへの需要が高いのです。

スケルトンリフォーム(内装や設備をすべて取り払うリフォーム)で室内をバリアフリー化するケースもあります。

マンションは規約を守ることが大前提

—マンションのリフォーム・リノベーションで注意するポイントはありますか?

マンションには管理規約と使用細則があり、居住者が守るべきルールが定められています。その中にはリフォームに関する約束事も含まれていて、それらを守って工事しなければなりません。

—具体的に、リフォーム・リノベーションができない部分を教えてください

マンションで個人がリフォームできる範囲は専有部分です。専有部分は、区分所有法という法律によって、個人での所有が認められている部分のことで、大まかに言うと、壁や床、天井などに囲まれた部屋の中を指します。

注意しなければならないのはベランダや玄関ドア、そして窓です。ここは共用部か専有部か曖昧に感じられますが、正しくは専用に使用が認められている共用部分(専用使用部分)です。

この専用使用部分は居住者が掃除やメンテナンスをおこなう必要がありますが、リフォームは認められていません。ベランダに屋根をつけたりドアの交換をすることもできません。

ただし、2004年に「マンション標準管理規約」が改正されたため、窓ガラスは性能を上げることが目的ならば交換できるようになりました。

もし判断に迷う場合は、まずは管理組合に相談しましょう。

床のリフォームには要注意

—専有部分のリフォームでも、規約によって制限がかかることがあるのでしょうか?

しばしば問題となるのが“床”のリフォームです。畳からフローリングにしたら、下階への音が響くようになったトラブルもあります。しっかりとした防音性能を持たせるよう、材料選びと工事方法をじっくり吟味しましょう。

工事方法にはフローリングを剥がして張り替える方法と、剥がさずに重ね貼りする方法の2種類があります。まずは規約を確認した上で、マンションのリフォームに慣れた業者を選びましょう。

—管理規約を確認したあと、リフォーム業者に頼むときの注意点はありますか?

リフォーム業者に見てもらって見積もりを取る際には、どこまで見積もりに入っているのか気をつけてください。言った言わないにならないように、現地でじっくり打合せを行い、打ち合わせ内容は全て文章にしてお互いに保存しておきましょう。

また、「ついでだから古いタンスを捨てて」という人もいますが、業者が引き取るとなると産業廃棄物扱いになり費用が掛かります。そういう場合は自分で粗大ゴミで手続きするほうが安く済みます。

また、業者は3社ほど比較し、値段だけでなくプランが満足いくかどうか、信頼できる会社かどうか、保証制度なども確認して下さい。契約の際は契約書を交わすのも忘れずに。

—リフォームでコストダウンをするための豆知識があれば教えていただいてもよろしいですか?

お金がかかるリフォームを覚えておくといいですね。たとえば水まわりの移動は費用がかかる傾向があります。水まわりはなるべく移動させずに、ほかの間仕切り壁を動かしたり、家具を使ったりなどすることで希望のプランを叶えるよう考えていくとコストダウンができます。

また、建築材料は日本の場合は伝統的に尺貫法(1尺=303mm)が基準になっているので、90cm、180cmサイズといった材料が多く流通し値段が安くなっています。

ですからそのサイズからはみ出さないよう計画を立てることで材料が効率よく使え、トータルでの費用を削減することができます。

実際に棚板の奥行きを50cmから45cmに変えただけでコストダウンしたケースがあります。幅90cmの材料から45cmの棚は2枚取れますが、50cmだと1枚しか取れず、また幅1mの材料は規格外なので割高になってしまうからです。

このような計画を立てるには専門的な知識が必要です。コストダウンをはかる際はリフォーム会社とよく相談しながら進めていきましょう。

最良の空間を作るために

—参考として、近年のリフォームのトレンドを教えてください。

いま、部屋の好みは非常に多様化しています。単純に〇〇風と言うよりも「自分らしさ」を大事にする人が増えていますね。

そのため少々変わった部屋であっても、自分が満足するリフォームであれば問題はないと思いますし、それが受け入れられる時代になっています。

たとえば、昔は1LDKの部屋は売れないと業界では言われていました。子供部屋がないと売れない、と。しかし、最近は結構人気があるんですよ。それは、子供がいない夫婦のニーズにあったから。そのぐらい部屋のニーズというものは時代とともに変化するのです。

むしろ、少し変わっているぐらいが愛着のわく家になるかもしれません。

まとめ

最後にYuuさんの話をまとめると、以下のようになります。マンションのリフォーム・リノベーションではこれらの項目に注意するようにしましょう。

・共用部分を勝手にリフォームすることはできない
・床はトラブルの元になりがちなので工事方法と規約を確認する
・見積もりの際に、業者がやってくれることを確認しておく
・とにかく、管理規約に目を通しておく

これらのチェック項目を満たせば、あとはあなたの望む空間を作るだけです。リフォーム・リノベーションを成功させて、心地よい空間にできるといいですね。

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