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マンションでのピアノの防音対策と落とし穴

公開日:  最終更新日:2014/11/28

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ナビ美家は家族全員がピアノを習っております。週に2回、ピアノの先生に自宅にお越しいただきレッスンをして頂いているのですが、「マンションでのピアノ」には注意しなくてはいけない事項があります。

「ピアノトラブル」はピアノの音に悩まされるいわゆる被害者向けのお話が多いようですので、今回はピアノを弾く側=加害者になるかもしれない方へ注意点をお話したいと思います。

ピアノ可マンション=ピアノを弾いても良いマンションではない

「ピアノ可」や「ピアノOK」などと記載されているマンションがありますが、これは「ピアノを弾いても良いです」という記載ではありません。

100キロ程はある一般的なアップライトピアノなどを「部屋に置く事が出来る」という意味と考えてください。区分所有者の方が皆様、ピアノを持ち込まれたりピアノを演奏される方ばかりではありませんので、「ピアノを弾く」という次の段階については更に工夫が必要となって参ります。

防音対策が講じられたマンションの落とし穴

最近では二重床や二重天井など防音に対しての配慮がされたマンションが主流となっており「防音対策が講じられたマンション」として紹介されておりますが、この「防音」という言葉にもマジックがあります。

ここでいわれている防音は日常生活で発生する生活音に対するものであって、ピアノの音色は防音してくれません。またマンション構造は鉄筋を主体として作られています。

ピアノの音は音伝導でどこに伝わっているかわかりません。ナビ美が管理しているマンションでも「上階のピアノ音がうるさい」と苦情が寄せられた事があるのですが、真上の方はピアノをお持ちでなく調査の結果、斜め上のお部屋から発せられた音だと判明した事があります。

一般的にマンションにピアノを持ち込まれるのはアップライトピアノが大半ですので、アップライトピアノのお話をしておりますが、アップライトの場合、ピアノの音はピアノの後ろから出て参ります。

このタイプのピアノは壁に背をつけて置かれることが多く、ピアノがある壁側が、お隣のお宅の場合は相当の音が響いてしまう事になります。

ちなみにグランドピアノの場合は下に音が響きます。練習中の際は蓋を閉めて練習する事がほとんどですので、階下への音の振動を気をつけないといけません。

ちなみに一般的にマンションでピアノの音が伝わる順番はまず一番は階下、その次が上の階、それからお隣、最後は斜め上下の順番で音が伝わりやすいようです。

ピアノ専用の防音対策を講じましょう

防音室を作るという事が出来れば最善ですが、我が家の様に「趣味程度でチョコチョコと弾く程度で防音室を作るのは…」とお悩みの方が多いことと思います。

簡単な対策としては「壁から15センチほど離してピアノを設置する」事です。その上で壁に防音用のクッションを入れたり、不要の毛布で壁に防音壁を作るだけでも、かなりの音が軽減されます。

また市販されているゴム製のインシュレーターを入れる、ピアノ架台の上に設置して二重床構造を作る、などピアノから出る音を吸収させる工夫をしましょう。

さらにピアノがある室内を厚手のカーペットや厚手のカーテンなどで音を吸収してくれるクッションを多用する事で音漏れはかなり軽減されます。

一番大切な点

先ほど、音が伝わる可能性の部屋をご紹介しましたが、これらの上下階、隣、斜め上下階の該当するお宅へピアノを弾く旨のご挨拶をしておくことが大切です。

「○曜の○時から○時までピアノのレッスンをしています。」「○時以降は絶対に弾きません」「ご迷惑をおかけする事があればいつでもおっしゃってください」などと最初にご挨拶を入れておくだけで、印象はずいぶんと変わるものです。

ナビ美の知人でピアノOKのマンションに10年近く住まわれている方がおられます。最近になって「ピアノがうるさい」と苦情が入り、消音機能付きのアップライトから電子ピアノに変え、夜はヘッドホンで練習しているにもかかわらず、「うるさい」と苦情が入り自宅で練習をあきらめ泣く泣くピアノを処分したという方がおられます。

この方も「ピアノOKマンション」のマジックにはまったのだそうで、ピアノの防音対策やご近所へのご挨拶などを怠った自分が悪かったのだと大変後悔しておられました。

お相手の方はこの10年近く我慢に我慢を重ねてこられたのが限界にきてしまったのでしょう。彼女が迷惑にならないようにと買い換えた電子ピアノにも拒否反応をおこし、ピアノを弾いていなくても「ピアノを持っている彼女」を見かけるだけで苦痛を覚えられるほどになっていたそうです。

このままでは良好なマンションライフが過ごせないと判断した彼女はピアノを処分し、それ以上のトラブルを回避する事ができたのですが、これは彼女だけに限らずマンションでピアノを演奏されていらっしゃる方すべてに起こるかもしれないトラブルです。将来的に予測されるトラブルを避ける為にも、まずは「ご挨拶」から始められてはいかがでしょうか?

ライター:マンションナビ美
不動産系会社勤務を経てフリーで活躍。自身も分譲マンションのオーナーとして、大規模修繕や、理事会役員を経験する。実体験からマンション業界を分かりやすく解説する。

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