違法駐輪・放置自転車をマンションから撲滅するルール
車離れ、エコロジー観点から最近は自転車を利用する方が増えています。一方で、スペース的な問題から1世帯につき1~2台までという制約があるマンションが多く、お子様がいらっしゃる世帯マンションでは自転車が溢れてしまうといった問題も起こっています。
また、駅に近いマンションなどは外部からの違法駐輪も多く見受けられるそうで皆様、駐輪問題では頭を悩ましておられる方が多いようです。
駐輪場問題に関してはレンタサイクルシステム「フィクス」が大変有効ですので下記記事も一度ご覧下さい。
レンタサイクル4.4万世帯で利用!駐輪場不足解消、放置自転車撲滅
http://iim.fts.co.jp/?p=33
共用自転車で資産価値アップ!駐輪場環境整備に大きな効果
http://iim.fts.co.jp/?p=55
今回はシステムを導入せずに違法駐輪をどうすれば防ぐ事が出来るか?を実例を元に考えて参りたいと思います。
自転車専用シールに期限を設ける
多くの分譲マンションでは、住民専用の駐輪スペースと外部の方の持ち物とを見極めるために専用シールを発行されていらっしゃるかと思います。
しかし、住民の方の中には既に不要の自転車をそのまま放置されているケース、退去された方が置いていってしまったケースなどもあります。
ナビ美の知り合いのマンション(総戸数100近く)では、毎年の総会時に自転車シールを一新して再配布されるそうです。そうする事で使われていない自転車を把握する事ができ、続けていく事で不要な自転車が置かれなくなったという事です。
また別のマンモスマンション(4棟、総戸数500近く)では、自転車スタンドと自転車シールにナンバリングをして完全登録制の専用駐輪スペースを設けています。
ナンバーが合わない自転車や登録シールの無い自転車は「違法占拠自転車スペース」に移動されるのだそうです。
駐輪スペースの不足
ファミリー間取りのマンションの場合、購入時はお子様が小さく自転車の必要性も感じられなかったものの築5年を過ぎる頃から子ども用自転車が増加し、駐輪スペースが足りなくなるというマンションが多いようです。
新たな駐輪スペースの確保が出来ない場合、上下2段式の駐輪場を設置したり、お子様の小さい自転車は廃棄サイクルも短いと予想されますので、
各住居のベランダなどに保管してもらう、空き駐車スペースがある場合は駐車スペースを駐輪スペースに変えるなど、管理組合で話し合って新たなスペースを確保する必要があります。
自転車の盗難防止
最近は自転車も軽自動車並みのお値段がするほど高価なものをお持ちの方もいらっしゃるようです。高価な自転車はご自宅内で保管されるのだとは思いますが、自転車の盗難は未だ少なくないようです。
電動機付きの場合はバッテリーを自宅に持ち帰る、自転車スタンド(無い場合はパイプを設置)にチェーンで繋いだり、駐輪スペースに鍵付きの扉を設置し、部外者の侵入を防ぐ、防犯カメラや防犯ライトを設置し抑止するなどの対策が必要です。
駐輪場を有料化する
管理組合の中では駐輪場の使用料を取られていない場合もあるようです。駐輪問題でお悩みの場合は有料化とする事で各世帯で保有する自転車台数を抑止する事が出来、自転車をお持ちでない世帯にとっても公平性が与えられます。
管理費の増収にも繋がり、上記でご案内した専用シールの発行で放置自転車などの一掃も図る事ができます。
迷惑駐輪、勝手に処分してもいい?
さて、特に駅前マンションなどは必ずと言ってよいほど迷惑駐輪が多発しますね。ナビ美が良く利用する駅前のマンションはいつも凄い事になっています。
違法駐輪は前回の「違法駐車問題」と同じく私有地を違法に占有する行為ですので、所有権を侵害されている事になります。
しかし、日本では「自力救済の禁止」という法律があるため、勝手に違法自転車を処分してしまうと逆に訴えられる可能性があります。ですから「違法駐輪発見→すぐに廃棄処分」という事はしてはいけない事になっています。
実際は違法駐輪された方も他人の敷地内に違法に侵入していますので住居侵入罪という犯罪行為を犯しておりますので、もし迷惑を駐輪された方から文句を言われたとしても喧嘩両成敗でどちらも説諭程度になる可能性があります。
ただし、本当に自転車を廃棄してしまった場合は中古自転車相当の賠償をする必要がありますので、勝手に処分という行為はしないでくださいね。
迷惑駐輪を一掃する
では、どういう手続きを持ってしたら迷惑駐輪を一掃出来るでしょうか?まず総会で迷惑駐輪対策について議案を提示します。
少なからずとも処分費用が発生する事と違法駐輪といえども所有権の問題がありますので、処分方法について話しあわなくてはいけません。まずは、区分所有者全員にご自身の自転車に専用シールでマーキングして貰う事を徹底してください。
次にシールが貼られていない違法駐輪と思われる車両に「私有地内の違法駐輪です。○日までに撤去しない場合は、処分いたします」などの警告文を貼り付けます。
またマンション内のエントランス掲示板や各戸へポスティングするなどして入居者の自転車処分の対象になっていないか確認してもらうようにお知らせを告知します。
ここまですると、ようやく所有者不明の自転車が明らかになってきますので、第3ステップとしてその自転車が盗難車両や何らかの犯罪に関わっている可能性もありますので、警察にその旨を届け出ます。
第4ステップとしては本来は簡易裁判所へ所在不明の所有者を相手として自転車が私有地の権利を妨害している「妨害排除請求」と「損害賠償請求」の訴訟を起こし、勝訴してから処分するという形になります。
実際は手間も費用もかかるため、所有者不明の自転車に「持ち主の方は○月○日(1ヶ月程度の期間)までに管理組合に連絡の上、移動してください。
期間を過ぎた場合は所有権を放棄されたとみなし、廃棄処分します」の警告文を自転車や周囲から目立つ場所に貼り出します。期限を経過しても持ち主が表れない場合は処分可能となります。
ある駅前のマンションの管理組合では、この方法を試したうえで、さらに違法駐輪車両にチェーンロックをし、自転車の持ち主がロック解除を管理組合に問い合わせてきた場合は相応の駐輪代と二度と違法駐輪をしないように約束させる事により、見事に違法駐輪が激減したそうです。迷惑駐輪にお悩みの管理組合様は一度お試しになってはいかがでしょうか?
ライター:マンションナビ美
不動産系会社勤務を経てフリーで活躍。自身も分譲マンションのオーナーとして、大規模修繕や、理事会役員を経験する。実体験からマンション業界を分かりやすく解説する。